新学習指導要領を見据えたネット型の系統(案)(豊田誠一郎)

公開日: 2016年2月6日土曜日

 現行学習指導要領では,ネット型ゲームの例示として,ソフトバレーボール系とプレルボール系が例示されている。それぞれのおもしろさを一言で表すと,「バウンドしないように攻防するおもしろさ」「ワンバウンドさせて攻防するおもしろさ」だと考える。ノーバウンドならば,ボールをキャッチしたとしてもおもしろい。純粋に,「ボールを落とす,落とさないようにする」といったハラハラドキドキ感を楽しめる。また,ワンバウンドしたボールは,キャッチなしでもパスが成立しやすい。ボールをつなぐ際,「一つ一つのプレイが途切れない」ため,ハラハラドキドキ感はラリーが続く度に増していく。

 この2つは,どちらも「連携プレイタイプ」に分類される。ただし,ネット型には,テニスやバドミントンなどの攻守一体プレイタイプ」が存在する(高橋,1994,ゲームの授業を創る,体育科教育42:12-18)。現行学習指導要領の例示には,「攻守一体プレイタイプ」がないということになる。この「攻守一体プレイタイプ」を小学校に導入する意義について木下は,2015年9月号,体育科教育の巻頭エッセイにおいて,次のように述べている。

 相手から来た球を直接返球する攻守一体型の単純なルールが子どもにわかりやすいこと,全員が同じ動きの習得からはじめる方がよいという観点からである。連携プレイ型は連携の必要性が生まれたところで指導するのが子どもの思考の流れと指導内容の一体化として自然であろう。
 
 このようなことを踏まえ,新学習指導要領を見据えた,小学校におけるネット型の系統を提案したい。



学年
ゲーム名
人数
おもしろさ
タイプ
1年
ボンバーゲーム
1対1,2対2
ノーバウンド
① 攻守一体
2年
ハンドテニス
ワンバウンド
3年
キャッチバレー
2対2,3対3
ノーバウンド
② 連携
4年
スマッシュゲーム
ワンバウンド
5年
ソフトバレー
3対3,4対4
ノーバウンド
③ 連携
6年
ミニテニス
2対2
ワンバウンド
④ 攻守一体


 ネット型ゲームの本質である「ノーバウンド」「ワンバウンド」のそれぞれに内在する「おもしろさ」に誘いながら,① 互いにボールを相手に直接返球する攻守一体型ゲーム → ② 仲間のカバーを意識した連携プレイにつながるゲーム → ③ セッターを意識して連携する連携プレイ型 → ④ 用具を介して相手に直接返球する攻守一体型ゲーム(ノーバウンドの併用も可) というようなゲームの発展を想定している。

 ちなみに,この系統案は,現行指導要領においても実施できる。法的根拠としては,現行の学習指導要領における高学年の内容の取扱い⑶において,次のような明示があるからである。

 内容の「Eボール運動」の(1)については,アはバスケットボール及びサッカーを,イはソフトバレーボールを,ウはソフトボールを主として取り扱うものとするが,これらに替えてそれぞれの型に応じたハンドボールなどのその他のボール運動を指導することもできる。

 
 つまり,ネット型のミニテニス(テニス系)を指導してもよいと理解できるのだ。
  • ?±??G???g???[?d????u?b?N?}?[?N???A

0 件のコメント :

コメントを投稿