学習カードの使用について(豊田誠一郎)
公開日: 2016年2月7日日曜日
1 学習カードの意義
学習カードは,子どもにとっては,主体的に学ぶ力を身に付けることができるツールと言えるでしょう。学習カードを効果的に活用することは,一人一人の子どもが,自分に合った明確な課題をもち,自己評価したり,相互評価したりする活動を通して,自ら進んで学習することにつながります。
また,教師にとっては,指導力の向上につながります。教師は,子どもの記述から,子どもの思いや願いを感じ取り深く見つめることで,教師自身の指導のあり方を振り返ることができ,自らの授業改善を図ることができます。他にも,評価規準に照らして,『評価』の参考にすることもできます。学習カードの解説にあるように,記述内容は,観点別評価の参考にすることができます。学習中の子どもの姿と合わせて評価することが大切だと考えます。
2 学習カードの種類と期待できる効果
○ 得点表,記録表・・・・・・・・自己の技能の伸びや課題を把握できる
○ 作戦図,感想欄・・・・・・・・学習の足跡を残すことができる
○ 反省欄・・・・・・・・・・・・自己評価,相互評価及び指導者の評価に活用できる
○ ボール軌跡図・・・・・・・・・友達やチームでのかかわりを深めることができる
○ 器械運動技能ポイント系統表・・技能習得の見通しをもつことができる
3 学習カード使用のデメリット
ただ,当然のことですが学習カードに記述するには,筆記用具が必要になります。この筆記用具の使用が,体育という教科の真正な学びを濁すように感じているのは,私だけでしょうか? 特に屋外で体育を行う場合においては,風,砂,記入する場所,保管する場所などの条件から,デメリットの方が多いのではないかと考えています。 また,体育という教科の究極の目的が,生涯スポーツにあるのなら,将来,子どもたちが運動の世界を広げていく際の広げ方(学び方)に,学習カードの類は存在するでしょうか? あるとするなら,スマートフォンなどのアプリを使用して,自身の記録等の変容を入力し続けるということでしょうか。少なくとも,みんなでスポーツを楽しみながら,個々が何かしらのカードに即時的に記入していくという使用は,未来の子どもたちの運動の世界の広げ方において想定できないのです。
4 学習カードに代わるもの
しかし,学習カードの意義やその効果は,本質的なものだと考えています。これらは,体育の学びにとって,とても大切なことなのです。使用しないのなら,他のもので代用しなくてはなりません。
例えば,得点表や記録表は,ホワイトボードなどに書いた方が,一覧できるし,クラス全体の様子を把握することができます。技能のポイント表なども,側面などに掲示すると良いのです。作戦図やボールの奇跡図などは,班ごとにミニホワイトボードを準備して,マグネットを動かしたり,マーカーで記入したりする方が,班のみんなが共有できるツールになるのです。また,右のようなスマッシュゲーム日記などで,授業後に振り返った方が,より自分の学びを省察できるし,特に思考の評価の拠り所にもなると考えています。
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